もう二度とこんな腕時計は出てこない!? SEIKO SARB035をレビュー。でも今買うのはちょっと危険。

セイコー SARB035

実売3万円台とは思えないクオリティの高さ!

腕時計が好きで10本ほど所有しています。その中でお気に入りの1本、SEIKO SARB035をレビューします。
セイコーの腕時計のなかでは入門機に位置していた中価格帯の機械式腕時計で、ムーブメントは6R15、サファイヤクリスタル風防、パワーリザーブ50時間、10気圧防水とかなり充実したスペックの時計です。残念ながら2019年ぐらいで廃盤となっているモデルです。
ネットを中心に世界的に評価が高く、僕も間違いなく素晴らしい時計だと評価していますが、今から買うのはちょっとおすすめできませません。最後にその理由も説明します。

買えなかった良い時計

僕は自営業ですが独立して数年、仕事が安定してきた頃に良い腕時計でも買おうという気になり、休日に家族とショッピングに出かけました。なんとなくグランドセイコーかザ・シチズンがいいなと思っていました。
デパートの時計売り場では田舎なので置いてある腕時計があまりにも少なくて、取り寄せは買取が前提になるとのことで購入をあきらめました。
品数の多い高級時計店へも行ってみましたが、そこでは入店拒否?に合いました。店の2階でピアノのライブが行われていましたが、娘と入ったところ未就学児は入場不可で、きつく叱責され「出ていきなさい!」と言われてしまいました。買い物はOKだったのかもしれませんが腕時計を買う気持ちは無くなり店を出ました。

異常に高評価の腕時計をネットで発見

腕時計購入熱は冷め、そのかわりにネットで腕時計の情報を収集するようになっていきました。特に外国人のユーチューブが面白いです。いろいろと見ているうちに異常と思えるほど評価の高いセイコーの腕時計があることを知りました。それがSARB035(白文字盤)とSARB033(黒文字盤)です。ロレックスと比較するなど大絶賛されています。35,000円ぐらいで購入できる腕時計でしたが価格から信じられないぐらいの高評価でした。
評価の高さが気になってアマゾンのお気に入りに登録していましたが、ずーっと長い間登録したままでした。すぐに購入しなかったのは半信半疑だったからです。グランドセイコーやザ・シチズンとは10倍以上の価格差がありますから、さすがに買っても後悔するんじゃないかという心配が消えませんでした。
それとなんとなくスポーツウオッチに興味が出てスピードマスターやダイバーウオッチなどを購入したりして年月が過ぎていきました。
2019年頃に廃盤になったと知り、最後のチャンスと購入しました。値段は37,000円になっていました。

手にすると良さがじわじわと伝わってくる

派手さは無い。取り立てて何かを感じさせるような特別な外見ではありません。しかし使い続けているとなんだか良いなと、じわじわと感じさせられる時計なのです。
セイコーらしいデザインはやはり魅力です。針と文字盤やインデックスとのバランスも適切です。少しだけクリーム色かかった文字盤もビンテージ感があります。一般的には特に特徴のないただのセイコーの腕時計なのですが、バランスの整ったデザインはグランドセイコーにイメージが近く満足度が高いです。
約38mmのケースサイズは使いやすいです。いろいろな時計を使用するうちに一番使いやすいサイズだと実感しました。
価格よりもちょっと良い作りというか、安っぽすぎず高級すぎない丁度良さを感じます。そこそこの高級感といいますか、高級すぎて周りとのギャップが気になる、とか使うシーンを悩むことはありません。
ムーブメントの精度は僕の使用している個体は+15秒前後です。価格を考慮すると納得できる精度です。6R15はセイコーのなかではちょっと良いムーブメントで、調整で一桁の精度にまで追い込むことが出来ることがマニアには知られていています。一説には「わざと精度を出していない」といったことが言われたりもしています。
リューズの巻き上げは「チリリリ・・・」といった感触でなかなか気持ちが良いです。(安いムーブメントは「ジジジジ・・・」となります。)

SARB035ムーブメント

ムーブメントが裏スケで見えるのもグッドポイント。

気になる点を上げると、まずは針でしょうか。時針分針の蓄光が余計で、秒針尾端のひし形の飾りも不要ということは良く指摘されています。たしかに僕も初めはそう思っていましたが、使い続けるうちに、これはこの時計の個性だと感じるようになっていき、今では気にならなくなりました。
今でも気になるいまいちポイントはブレスレットの出来があまり良くない事です。

値段では無いという当たり前のことを実感

腕時計って自分自身の好みを把握できれば迷うことも少なくなります。自分の好みは伝統的デザインを踏襲したビンテージ感のあるモデルだとわかってきました。コンディション維持に気を使う本物のアンティークやビンテージウオッチに手を出すすもりはありません。
ハイブランド化を目指しているグランドセイコーは「SEIKO」の文字が消えてしまったことや、少し力が入りすぎていると感じるモデルも多いし、ビンテージ感も足りないように感じるようになり、現行モデルは欲しいと感じなくなりました。
SARB035は程よいサイズに伝統的なセイコーデザイン。シャープすぎない手触りとクリーム色ダイヤルで、キングセイコーやロードマーベルといったモデルに通じる雰囲気があると感じています。実際に皮ベルトに交換するとぐっと雰囲気が良くなりますよね。この時計ならではの魅力はあると感じています。

大絶賛のSARB035だけど、今はおすすめはしない

ここまで褒めておいて恐縮ですが、今、この腕時計を誰かにおすすめすることはできません。
廃版になって数年、手に入れるとすれば中古品になります。たまに新品のデッドストック品が出てくると数十万円の値段がついています!
この時計のオーバーホール周期は3~4年ですから、今売られている中古品はオーバーホールを前提に購入しなければなりません。オーバーホールの費用2~3万円ぐらいの予算がプラスで必要となりますので、そう考えると中古品の取引価格(5~6万円が相場?)は高すぎます。もっと他に新品で良い選択肢があると思います。
フリマサイトやオークションサイトでの出品数が数年前と比べて多くなっているように感じています。オーバーホールが必要になってきたところで売却というケースもかなり多いんだろうと思います。買った値段より高く売れますから売りたくなる気持ちもわからないでもありません。
実際僕もこの時計の調子が悪くなってきたらオーバーホールに出すのか決めかねています。37,000円で買った時計の維持コストとしてどうなんだろうと考えてしまいます。
ロレックスやオメガのオーバーホール周期は10年ぐらいです。性能や品質は段違いに良いそれらと比較してしまうと維持費が高いなと感じてしまいます。
中古品での購入は割高だしリスクもあるし、おすすめできません。