専門家は教えてくれない 小規模企業共済、iDeCo、国民年金基金の選び方【投資歴10年の自営業者視点】

自営業者が利用できる老後資金のための公的制度は違いが分かりにくくどれを選ぶべきか迷いがちです。選ぶポイントを自営業の立場から経験もふまえて解説します。細かく説明するとあまりにも長くなるので、給付や拠出上限など詳細については各公式ページでご確認ください。
どの制度も掛金が税金控除される節税メリットがあります。

要点まとめ

  • 運用をまかせるなら小規模企業共済で決まり
  • 国民年金基金は運用面に重大な不安あり
  • 自分で運用できる人はiDeCo
  • 早期に始めるほど有利!より大きなリターンが狙える

 

運用をまかせるのなら小規模企業共済の一択

投資や資産運用について時間をとられたくないなど、運用をまかせたいのであれば小規模企業共済で決まりです。運用利回りも約1%なので、銀行の定期貯金積立よりも有利なうえに掛金が税金控除されます。
掛金の7~9割まで貸付を受けられる制度もあり、自営業者にとっては安心感があります。貸付を受ける場合の金利は利用目的により0.9~1.5%です。銀行からの借り入れと比較しても悪くないと思います。

小規模企業共済の運用状況は安定しています。過去5年間の平均運用利回りは1.21%です。繰越欠損金の削減に取り組み、平成28年度以降は運用資産額が責任準備金を上回っています。安定して運用できています。

小規模企業共済運用の推移

小規模企業共済のサイトより引用 (平成8~26年度分は長いので削除しました)

運用割合は86%が国内債券、国内株式7%、外国株式3%、外国債券4%とリスクの高い株式が小さな割合に抑えられています。安定性を重視した手堅い運用割合で、大きなリスクを取りたくない方にとってはとても良い運用先です。

小規模企業共済の運用資産割合

小規模企業共済のサイトより引用

予定利率は1.0%で、大きなリターンは期待できませんが確実性の高い運用です。
中途解約は可能ですが、元本割れする可能性があります。

 

国民年金基金の運用は不安あり

国民年金に上乗せする2階建て年金として平成3年にスタートしました。最大のメリットは終身年金であること。
平成3年のスタート時には予定利回りは5.5%ぐらいでしたが、その後1.5%ぐらいまで低下しています。加入時期によりリターンが違うのはあきらかに不公平な制度だと思っています。加入者も減少しています。新規加入者は毎年2~3万人程度で、平成30年度末で現存加入員数36万3千人です。平成15年の78万9千人のピークから減り続けています。平均年齢の変遷から有利な時に加入した古参加入員の割合が高いのではないかと推測します。

国民年金基金の現存会員数

現存加入員の推移 国民年金基金のサイトより引用(長いので途中をカットしました)

年齢別構成 令和元年

加入員割合は20代、30代が少なく50代が約半数を占めています。

財政も悪化しています。令和元年度において過不足金が1兆4千億円と巨額になっています。令和2年はさらに悪化しないか心配です。

国民年金基金財政の推移国民年金基金サイトより引用

国民年金基金の運用資産の配分は株式48%、債券52%です。そのうち海外割合は71%になっています。安定性が重視される年金資産運用としては高リスク配分だと思います。

国民年金基金サイトより引用

公的年金として加入を進める専門家もいます。
加入するなら国が運営していない任意年金ということを忘れてはいけないと思います。
長年チェックしてきましたが、僕はこのままの運営が続けば将来破綻の可能性が高くなっていくと思っています。
加入するにはこれらの不安や不公平を承知のうえで終身年金のメリットを選択できるかだと思います。仮に加入するにしても小規模企業共済かiDeCoのどちらかにも加入しておくべき。年1回の運営チェックは欠かさず。状況を見て積立額の変更をするようにしましょう。

国民年金基金は途中で解約は原則できません。国民年金の付加年金が使えなくなることも地味にデメリット。2019年の地域型の国民年金基金の合併で地方事務所が閉鎖となりました。

 

自ら運用するならiDeCo(イデコ)

確定拠出年金iDeCoは運用先を自分自身で決めて運用します。リターンは運用次第。インデックス投資はスキルがあるなら年平均4~5%の利回りは期待できるとされています。少額企業共済や年金基金の約1%の利回りと比較して高いリターンが見込めます。運用期間が長くなるほどリターンの差は大きくなります。10年以上の積立期間が残っているならiDeCoが有利と言えます。
運用スキルはiDeCoを初めてから勉強でも大丈夫です。勉強する手間をかける意思があるかどうか。投資スキルは一生役に立つので、20年~30年と長期に運用できる若い方はスキルを身に着けて長期運用するべきだと思います。遅くても40代では始めたい。
運用についてはGPIF(厚生年金、国民年金の運用を行う独立行政法人)などを参考に投資比率を決めると良いです。参考までにGPIFの投資比率は国内株式25%、海外株式25%、国内債券25%、海外債券25%です。

GPIF投資割合

GPIF運用割合 GPIFサイトより引用

この割合での2001年度以降の年平均収益率は2.97%になっています。iDeCoの運用には債券比率を落としてもう少し高いリターンを目指したいところです。決めた割合からずれが生じたらリバランス(元の割合に戻す)作業が必要です。だいたい1年に1回程度の作業です。

投資は難しくてやりたくないという方には向いていないかもしれません。僕は投資が苦にならないので工夫の余地があるiDeCoは楽しいです。

リスクをとった運用をしたくない方向けにiDeCoでは定期預金も用意されています。それを進める専門家もいますが、それなら利回り1%で融資制度もある「小規模企業共済」を選択すべきです。iDeCoは手数料がかかり定期預金では掛金が減っていきます。idecoのデメリットだけを選択することになるので無意味です。
また、iDeCoには途中で掛金の引き出しができないデメリットがあります。急に資金が必要になって困らないようにNISA、積立NISAの非課税口座なども併用するとよいと思います。


 

結論です。
自分で運用するならiDeCo。任せるなら小規模企業共済。
国民年金基金の単独加入は無し。信用するな。運用チェックを怠るな!