銘柄分析(8963)インヴィンシブル投資法人 コロナ禍で価格下落中、投資妙味は?

要点まとめ
新型コロナの流行でホテル需要が蒸発、窮地に
金融機関からの借換は借入期間が短期になるものの乗り切れている
経営危機のホテルオペレーターを資金的に援助(5月、9月に契約変更の覚書締結)
金利支払い等の経費の大半を住居物件の収入でカバー(2020年7月期決算より)
減収減益で分配金は大幅減するも、倒産回避の道筋は見えたと考える
気長に業績回復待ち


ホテル系のREIT「インヴィンシブル投資法人」です。メインスポンサーは外資系運用会社フォートレス・インベストメント・グループ、ソフトバンクがサブ・スポンサーです。

所有物件

所有物件数は148件。目につく物件では「シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル」「ホテルマイステイズ」「フレックステイイン」「アートホテル」などです。海外のホテルも2物件保有しています。9割がホテル、住居物件も1割保有しています。

分配金

2019年の年間分配金合計は3,381円でした。
2020年6月期の予想分配金は69円、2020年12月期の予想は未定となっています。

価格推移

インヴィンシブル投資法人1年チャート1年チャート ヤフーファイナンス引用

6万円を超えていた株価は3月に2万円を割りました。その後徐々に回復していましたが、新型コロナの再流行で再び下降し2020年8月現在は2万5000千円付近です。たいへん厳しくホテル運営者への賃料の支払い免除や費用負担が行われています。(契約変更の覚書締結5月)

買い判断の根拠

借入金
リートがつまづく原因として考えられるのは借入金の借り換えがうまくいかないケースです。インヴィンシブル投資法人の借入金総額は約2600億円で、LTVは46.8%、平均残存年数は2.5年、平均借入利率は約0.5%で低めです。借入年数が短期なのが気になりますが、負債割合は標準的です。
リートの場合、借入金は返済期限に一括返済の契約になっていています。返済までは金利のみの支払いが行われ、返済期限に合わせて同額の借換えが行われます。
コロナ禍後の返済期限を心配しましたが、6月、7月と合計300億円の借換えが行われています。銀行からの借換えについてはこれからも問題は無さそうです。

客室稼働率
月ごとの稼働率が公表されています。
一般的にホテルの経営において、経営が成り立つには最低で稼働率60%といったことが言われます。ホテルごとの事情の違いもあり一概には当てはまらないようですが、おおまかな目安として稼働率60%を損益分岐点とする見方で良いと思います。

インヴィンシブル投資法人 客室稼働率
国内ホテルの客室稼働率は影響の一番大きかった4月、5月は30%を下回っていますが、6月に37.4%と少し回復しています。どのくらいで60%を回復できるか?ホテル運営者の破綻を防ぎリートが存続していけるのか、その見通しが買い判断のポイントです。

Go to キャンペーンもあります。これから先何が起きるのか予想はできませんが、新しい生活様式に対応していかなければならないことは事実です。
今回はホテルの稼働率回復を確認してから買うのでは遅いと判断し8月に少し買いました。

(追記)2020年6月期決算短信

8月25日公開の決算短信によると、国内ホテルの7月稼働率は41.3%でした。引き続き新型コロナの影響が大きく苦しい運営が続いています。
ホテルの賃料減収を住居物件と商業施設の収益でカバーしている状況とのこと。さらに、「継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められない」とあります。分配金は96%減と厳しい状況ではあるけれど破綻はしないと言っているわけです。
今回の投資は破綻しなければ良しなので、その心配が少ないことを確認できただけで充分です。決算翌日に少し買い増ししました。株価と分配金はしばらくは回復しないと思いますが全く問題ありません。長く持ち続けていれば稼働率の回復にあわせて復活してくるでしょう。

投資主優待制度

投資主優待制度が変更になり、1株からでも利用できるようになりました。
シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル及びMHMが運営するマイステイズブランド・ホテルのベスト・アベイラブル・レートから10%割引で宿泊できます。マイステイズホテルは九州にも複数ありますので使い勝手は良さそうです。

(追記)MHMと契約の変更覚書締結(9月)

インヴィンシブル投資法人の資産運用会社と、ホテルマイシティなど73物件を賃貸している主要テナントの株式会社マイステイズ・ホテル・マネジメント(以下「MHM」)との間で、賃貸と委託契約の変更覚書を締結しています。(5月と9月)
内容を完結に書くと、3月~6月の賃料の免除と物件管理・管理・保守関連で資金援助を行っていました。(5月の覚書)
9月の覚書では、7月~9月は賃料減額(固定賃料の減額及び変動賃料部分は算出方法の変更)となり、物件管理・管理・保守関連での援助は行われません。
元の契約に戻ることはできませんでしたが、状況は改善してきているようです。「5月に底を打ったとみられる」とあいさつにも掲載されていました。倒産は回避され業績回復へ向かいはじめたと見ています。

インヴィンシブル投資法人は必死でした

IRに目を通して感じたことですが、一連の対応が投資主からの訴訟もありえる内容のため、経緯説明に多くの紙面を割いていました。
MHMを救済することが投資主の利益とっても最善の手段であることを切々と語っています。グループ企業とはいえ、親会社関連ファンドからの追加出資、派遣社員の大幅削減と幹部社員の給与20%以上削減といったMHMの対応策まで記載されている異例の内容だと思います。
社員の方、親会社とも痛みをともないながら耐えているのであれば、投資主としても受け入れられる内容です。必死さが伝わりました。

気長に業績の回復を待つ

ピカピカのホテルリート、(3287)星野リゾート・リート投資法人などと比べれば見劣りします。下落からの戻りが遅いこともわかっています。
それでも、より大きく下落したインヴィンシブルにチャンス有と見ています。復活して元の配当金水準に戻ることができれば、僕の買値での利回りは約13%となります。危機に陥った銘柄の復活にも勝機ありです。あとは気長に業績の回復を待ちます。